こんにちは、齊藤です。
前回の記事では「中間サービス」の場面をテーマに取り上げました。
お食事中のお客様に対して目配り・気配りを行うことで、お客様と信頼関係を構築することが
重要であり、そのためのマインドと具体的な実践事例を取り上げました。
※前回の記事
【飲食店接客マニュアルの9ステップ】5「中間サービス」でお客様をおもてなし
※9ステップとは?
【飲食店の接客マニュアル】接客教育に効果的な「9ステップ」とは?
本日は9ステップの後半となる第6回目
「追加オーダー」がテーマです。
これは前回のテーマである「中間サービス」の中に含まれているという考え方もあります。
お客様の卓上を観察し、空いたグラスやお済みの器を下げつつ、次の注文を伺うという場面はよくありますよね。
追加オーダー対応は中間サービスの延長線上に存在するという考え方です。
しかし今回は追加オーダーを9ステップの独立した1テーマとして取り上げ、
深く内容を掘り下げて解説していこうと考えています。
それでは具体的な内容を見ていきましょう!
ステップ6「追加オーダー」
今回のテーマである追加オーダー対応は
- お客様のお食事の「満足度」
- お店の収益性を高める「客単価」
この2点を大きく左右する重要な要素です。
まず、飲食店で働く我々にとっての給与とは、
会社ではなく目の前のお客様から頂いていることを強く認識しましょう。
なぜならば、お店も企業も雇用もお客様がお店に来店して発生する売り上げがあってこそ成り立っています。
月商が数千万円の繁盛店だとしても、その数値は毎日の一杯のドリンク、一品の料理をコツコツ売り続けて
積み上げていった結果ですよね。
前回までの記事は、お出迎えやご案内、中間サービスといった接客面の記事が中心でした。
今回のテーマである「追加オーダー」に関しては、先述した「客単価」の概念も取り入れ、
お店の設定している目標の客単価を目指してセールスしていく重要性も解説していきます。
私が提案する追加オーダー場面のゴールは次の通りです。
毎日目の前の1人のお客様にフォーカスして、満足度と客単価を高めていくことに集中することが近道です。
それは一過性のものであり、店舗本来の実力ではありません。そこを過信してはいけません。
- 簡単に真似できない圧倒的な「商品力」
- お客様の心をガッチリと掴む「接客力」
- お客様に最適な商品を提案する「販売力」
この3つが揃っている飲食店は最強ですよね!
そして今回のテーマである追加オーダーの場面においても
この3つが重要なキーワードです。
ここまでの序盤をまとめて振り返ります。
そのために必要な要素は「商品力」「接客力」「販売力」である。
追加オーダーの場面における具体的な事例を取り上げましたので見ていきましょう。
適切な商品提案に必要な3つの視点
お席をラウンドして、追加のオーダーをしてくれそうなお客様に気づいたら
お席にお伺いします。
ファーストオーダーの際に注文した料理も、ある程度は食事が進んでいるか
またはお済みになっている状況です。
空いたグラスや器をこまめに下げつつ、追加オーダーを獲得することで、
お店が設定している客単価に近づけていくアクションが大切です。
この場面では
「何かおすすめありますか?」
こうした質問がお客様から寄せられることがあります。
ここで「おすすめ」という言葉を鵜呑みにして、お店側の看板商品や名物料理を
提案することも悪くは無いのですが、今回のゴールである
「一人ひとりのお客様に応じて適切な商品提案ができ、「満足度」と「客単価」の両方を高める対応ができること」
ここを目指すためには、お客様一人ひとりに対して、もっと意識を向ける必要があります。
追加オーダーの場面で意識することは次の3点です。
- お客様のオーダー内容を把握する。
- お客様の人数を考慮する。
- お客様の滞在時間を考慮する。
それぞれ見ていきましょう。
お客様のオーダー内容を把握
まずは伝票やハンディなどでお客様の注文内容を確認しましょう。
注文内容を確認することで、食事の進行状況やお客様の嗜好をある程度読み取ることができます。
見るべきポイントとして私があなたに提案することは
- ファーストオーダーでおすすめした看板商品は召し上がっているか?(もう一度ここでアピールすべきか)
- 人数に対しての食事のオーダー量はどの程度か?(食事の序盤なのか終盤なのか)
- どういったカテゴリーの商品が好んで注文されているか?(肉系、魚系、つまみ系、ヘルシー系)
- ドリンクは何を飲まれているか?(日本酒ならば何が合うか)
この4点です。
これらに意識を向けると、お客様の嗜好や特性がある程度読み取ることができますので、
それらの情報に基づき、「根拠のある提案」をすることでお客様の満足度を高めることができます。
お客様から見ても、看板商品をマニュアル一辺倒のように繰り返しおすすめされるよりも、
自分たちの注文内容を確認し、それに合わせて提案してくれるスタッフの姿勢が嬉しく感じるはずです。
伝票やハンディで注文内容をすぐに確認できない場合でも、お客様のテーブル上を観察すれば、
どんな料理やドリンクを飲まれているかが分かるので、それに基づいた提案をすれば喜ばれますし、
追加オーダーに繋がる可能性が高まりますよね。
この注文内容を確認して対応することは非常におすすめです。
お客様の反応がとても良いのでぜひ実践してください(^^)
お客様の人数を考慮
お客様のオーダーを受ける際には、お客様の人数を考慮して対応する必要があります。
なぜならば大半の場合、お客様はメニュー上からその料理がどのくらいのボリュームなのか
判断できないからです。
メニュー設計が親切な場合は、実際に提供されている商品と全く同じレベルで再現されている画像や、
キャプション表記でおよそ何人前分のボリュームなのかを表記してくれているところもあります。
しかしそうしたところは非常に少なく、居酒屋業態の場合は画像もキャプションもなく
商品名だけのメニュー表記が多いですね。
この場合は、スタッフの対応が満足度を大きく左右します。
具体的な例として
- 2名様の女性客
- 5名様のサラリーマン男性
この2組のお客様が、全く同じ料理内容と品数を注文した場合、
満足度は同じになることはありません。
なぜならば、ある料理は女性2名様にとってはボリュームが多いと感じられる可能性がありますし、
また別の料理は、男性5名様にとっては逆に少ないと感じられることだってありますね。
この解決策としては、誰よりも商品の内容を理解しているお店のスタッフが、
人数を考慮してお客様と商品の最適なマッチングを提案しなければなりません。
お客様の言われるがままに受け身の姿勢で注文を聞いてばかりでは、
商品提供後に「多い」「少ない」といった不満足が発生します。
足りない場合は追加すれば良いと思いますが、時間の限られているお客様には
待ち時間というロスが発生します。
ここでよくありがちなシチュエーションとして
「1人前4個入りですが、追加で5個に増やせます。いかがでしょうか?」
このように提案して満足度と客単価を確保する。
今回のゴールである「満足度」と「客単価」をどちらも勝ち取っています。
一方で、お客様の人数に対して明らかに過剰に提供して食べきれなかった場合、
これはお客様に非はありません。スタッフの対応が至らずにお客様にご迷惑をかけたと受け止めねばなりません。
お客様の人数に対しての適切な可食量の提案をしましょう。
お客様の滞在時間を考慮
居酒屋業態では、滞在時間が長いお客様は2〜3時間以上いらっしゃることも珍しくなく、
お連れ様と楽しく談笑され、ゆっくり時間をかけて食事の時間を楽しまれています。
飲食店では基本的に時間の経過と共にお客様は食事が進み、お腹が満たされていきます。
お酒を飲んでいる場合は、酔いも深まってきます。
時間の経過と共に、お客様のお腹の具合や体調も変化しますので、
その時々において「お客様が求めるもの」は変化します。
その求めるものに答えられる商品が「売りやすい商品」と言い換えることができます。
一例として、お客様が2時間滞在した場合の時間の流れを「3つの時間軸」に分けて
それぞれに求められる売れやすい商品をピックアップしてみました。
・お店の看板商品や名物料理
・期間限定メニュー、イベントメニュー、数量限定メニュー
・焼き物、揚げ物、酒肴逸品
・お鍋やピザなどみんなでシェアできる料理
・食事の〆の飯物、麺物、汁物
・食後の甘味やデザート、コーヒー、お茶
上記を参考にしていただければ、的外れなメニュー提案をするリスクを減らすことができます。
「何を」よりも「どうやって」伝えるか
場面ごとに応じて、「何を」おすすめすべきかを解説してきました。
ここでは、お客様への伝える力について見ていきましょう。
お客様へ商品を販売する際に必要な要素としては
- 自信を持って堂々とおすすめすること
- 躊躇せずにストレートに伝えること
ぜひこの2点を意識しましょう。
もしもあなたが初めて利用するお店で、スタッフに
「このお店のおすすめって何ですか?」
このように質問したとします。
それに対して返答するスタッフの言動が、小声で自信なさげな態度であったならば、
あなたはそのスタッフの言うことを信じられるでしょうか?
「このスタッフの言っていること大丈夫かな・・・」
このように不安になるはずです。少なくとも私は不安になりますね。
おすすめ商品を聞く場合だけではなく、内容に関して質問した場合などでも
表情や言動から不安を感じてしまうのであれば、説得力は無くなってしまいますよね。
こうならないためにも、お客様への対応で心がけるべきポイントは
- 笑顔でアイコンタクトをとる
- お客様にしっかりと伝わる声量で元気よく話す
- できるだけYESかNOで明確に意思表示する
- 曖昧で中途半端な言動はしない
- お客様に嘘をつかない
- 商品に対しての正しい知識を身につける
こうしたことが挙げられます。
このようにすることで言動の一つ一つに説得力が宿り、お客様の心に刺さる対応ができるのです。
客単価は高ければ良い訳ではない
「このお店はだいたい1人あたりこのくらいの金額だろうな」
このようにイメージして来店されます。これを「想定客単価」と言います。
ぶれないことが挙げられます。
商品やサービスに対して満足度が高い場合、高確率で再来店されます。
お客様がその店に足を運ぶ可能性は0に近いでしょう。

まとめ
いかがでしたでしょうか?
最後にあらためて追加オーダー場面のゴールを再確認しましょう。
必ず追加オーダーの場面で「満足度」と「客単価」の双方を高める対応ができます。
商品も接客も「他店舗にはない付加価値」で差別化を図りましょう。
会計処理で作業的にならず、お客様とのコミュニケーションの場として考え、
次につながる一歩踏み込んだ接客対応を解説していきます。
最後までお読みいただきありがとうございます。
次回の記事で再びお会いしましょう!