皆さんこんにちは、齊藤です。
前回の記事では「ご案内」をテーマに、いかにしてお客様の満足度を高めるかについてお伝えしました。
※前回の記事
【飲食店接客マニュアルの9ステップ】2「ご案内」お客様を安心させる対応とは
※9ステップとは?
【飲食店の接客マニュアル】接客教育に効果的な「9ステップ」とは?
本日は9ステップの第3回目となる「ファーストオーダー」をテーマに深く掘り下げていきます。
ステップ3「ファーストオーダー」
お客様をお席までご案内し、いよいよメニューをご覧いただき注文していただく段階です。
このファーストオーダーにおいても明確なゴールがありますので、最初に結論からお伝えします。
・魅力が伝わる「おすすめ」でお客様に召し上がっていただき、リピートの動機付けとする。
ファーストオーダーの場面では、重要となるのがこの2つです。
お店のイチオシメニューをしっかりと伝え、実際に注文していただき味わって頂くことで再来店につなげる。
新人スタッフもベテランスタッフも、最初の注文場面ではこの点を意識してお客様に対応することで多くのメリットがあります。
その理由や具体例を解説してきます。
お客様が再来店しない意外な理由
今回の記事を進めていくにあたり、まず皆さんに明確に伝えたいことがあります。
それは、「一度ご来店されたお客様がその店にもう一度行かない理由」です。
このように聞いて皆さんはその理由をどう考えますか?
- 商品に満足できない。美味しくない。
- 商品提供が遅い
- スタッフの対応や愛想が悪い
- コスパが悪い
- お店が汚い
おそらくこうしたことが挙がってくると思います。
顕在化クレーム
確かに飲食店においてはどれも致命的です。
客足が離れるには十分な理由ですよね?
こうしたマイナス要因は、いずれ必ず明確な形となって表れます。
その際たる例が「クレーム」です。
料理が美味しくないというクレームは滅多にありませんが、
料理に髪の毛や異物が入っているクレームは起こり得ます。
注文した商品がなかなか提供されずにキャンセルというケースも、
提供間違いやオーダー漏れなど、理由を問わず起こり得ます。
「あのスタッフの接客が悪い」というクレームも、
店舗で直接起こることは少ないですが、後日本社にメールでクレームが届いたりします。
このように、お客様からクレームと言う形でお店に届くものに関しては、
真摯に受け止め改善することで確実に減らしていくことができます。
これは言い方を変えれば「クレームが顕在化している」状態とも言えます。
潜在化クレーム
一方でお客様から明確なお声として挙がってこない不満要因も存在します。
これらを「潜在化クレーム」と呼びます。
これらは日々の営業の中でもなかなか気づきにくく、
形として浮かび上がってこないのでそのまま放置しがちとなります。
そしてこの潜在化クレームの中に、お客様が再来店されない大きな理由が存在しているのです。
それは
「その店にもう一度行く理由が見当たらない」
ということです。
クレームというと大きな不満や怒りの感情を想像するかもしれませんが、
お客様がもう一度ご来店いただけないのであれば、程度の差はあれ必ず何らかの不満足要素は存在します。
先に述べた
- 商品に満足できない。美味しくない。
- 商品提供が遅い
- スタッフの対応や愛想が悪い
- コスパが悪い
- お店が汚い
これらをクリアしていたとしても、それだけではお客様がもう一度来てくださる理由にはならないということです。
言い換えれば、「良くも悪くも印象がないお店」という位置づけとも言えます。
お客様がもう一度足を運びたいと思うような店にするためには、
マイナス要因を排除しつつ、他店舗に負けない差別化の要素が必要だということです。
看板商品のおすすめで再来店の動機付けに
そしてその差別化のために最も有効な手段が
「あなたのお店でしか楽しめない看板商品とお店の魅力を確実にお客様に認知してもらう」ことです。
ファーストオーダーでお店の看板商品をお客様にしっかり認識してもらうことがゴールと
私が最初に述べた理由はそのためです。
その日の売り上げや客単価を上げる目的以上に、地域の中で皆さんのお店がしっかりと認知され、
他店舗と差別化して生き残っていくには、お店で最も魅力のある看板商品を伝え続けていく姿勢が重要です。
極端な話、その日に注文していただかなくても、お客様の記憶にインプットされれば合格ともいえます。
その体験は後日の来店に繋がってきます。
あなたの看板商品と嗜好が合う、別のお客様を連れてきたくださったり、
「○○といえばあの店があったな」と、選択肢の中に入ってくる機会が必ずあります。
看板メニューの定義
もしもこうした悩みや疑問をお持ちであれば、メニュー選びの上で判断材料となるポイントがあります。
下記を参考に選んでみて下さい。
・あなたのお店や業態コンセプトの特徴を最も表現しているメニュー
・他店舗が真似できない圧倒的に魅力的な素材、ボリューム、調理方法、提供演出、コスパのメニュー
絶対的におすすめすべきメニューであれば、1つに絞り込んだ方が良いです。
お店の看板メニューになる商品を開発し、メニューに加えましょう。

お客様に合わせておすすめの仕方を工夫
ここまではお客様に再来店して頂くためにはあなたのお店への「来店動機」が必要であり、
ファーストオーダーでお店の「看板商品」をアピールすることの重要性を伝えてきました。
ここではお客様に合わせて、おすすめの仕方を少し変える提案をさせていただきます。
私の考えは下記の2つです。
お客様を飽きさせないために、おすすめの内容を変える工夫をする。
何度も足を運んでくださっているお客様の心情を考えると、親切とは言えませんよね。
初来店のお客様こそチャンス
初来店のお客様にお店の看板メニューの魅力を伝えることで、再来店の動機付けとすることが重要であることを
繰り返し述べて来ました。
ここで欠かせないのが
目の前のお客様が初来店なのか、リピーターなのかを見極める
これをどうやってやるかです。
判断できるポイントはいくつかあるので、参考にしてみて下さい。
- 予約時の電話対応で確認
- WEB予約時の設問事項で確認
- 来店時や案内時に確認
- ファーストオーダーでおしぼりをお渡しした際に確認
お店でルール化し、どのお客様が初来店かを識別できるようにすることが、
確実に看板メニューをおすすめし、再来店を促す第一歩と言えます。
自店のリピート率を知る
あなたのお店でやりやすい方法を決めて、スタッフみんなで確認することを続けると、
お客様全体の中でリピーターがどのくらいかをデータとして抽出できるメリットもあります。
繁盛店のリピーター率は50%〜60%以上と言われています。
お客様の半分以上がリピーターであればかなり高い水準であると言えます。
ただし駅前や観光地など、初来店のお客様が大半を占める立地の場合は、
一定水準以上のリピート率にならない場合もありますので、
リピート率が低いのが悪いと一概には言えません。
大事なのは、一定期間データを抽出し
- 自分のお店のリピート率の平均値はどのくらいなのか
- 過去半年〜3ヶ月の直近のリピーター率は上がっているか?下がっているか?
- 前年同月と比較してリピーター率は上がっているか?下がっているか?
こうした分析を行い、お店の現在の状況を知る一つのバロメーターにすると良いでしょう。
おすすめが苦手なスタッフの教育方法
どのように教育したら良いのかな?
看板メニューのおすすめの重要性を述べて来ましたが、スタッフの強みや個性も様々です。
中にはお客様の前でおすすめしたり、会話するのが得意ではないスタッフもいます。
メンタルブロックを理解する
そうしたスタッフをロールプレイングでトレーニングしたり、実際にお客様の接客をさせる前に、
理解してあげて欲しいことがあります。
・分からないことを聞かれて答えられなかったらどうしよう
・イヤな思いや恥をかいたらどうしよう
お客様の心理状態を理解する
新人スタッフであるほど、この不安が大きいことが挙げられます。
その不安を取り除く方法として、私はこれからお伝えする方法で教育するケースが多いです。
まず、飲食店にご来店されるお客様の「心理状態」をスタッフに理解してもらいます。
飲食業の特徴は、お客様が最初から食事をする目的でお店にご来店されるということです。
言い換えれば、来店された時点で売上が確実に発生するということです。
そんなの当たり前だと思われるかもしれませんが、「アパレル」を例に挙げると、
お店に来店されたお客様全員が商品を購入される訳ではありません。
お店に入って欲しいものがなければ、何も買わずにお店を出ていきます。
飲食業でもごく稀にメニュー見て注文せずに帰られるお客様もいますが、
99%のお客様は必ず料理や飲み物を注文してくださいますね。
まず、前提としてこのことをスタッフに伝えます。
そうなると、飲食店にご来店されるお客様の心理状態を分かりやすく表現すると次のようになります。
・このお店で一番美味しい料理を教えて欲しい
・この店でしか食べれないおすすめの料理を教えて欲しい
お客様におすすめして伝えなければいけないという責任感、使命感が生まれます。
- 一番美味しいメニューを知らずに帰ってしまう。
- 何がウリのお店なのか曖昧なまま帰ってしまう。
- お得感やお値打ち感を感じずに帰ってしまう。
- 印象に残らずに次回来店の選択肢に入らなくなる。
こういったことが挙げられます。
・店側のためではなく、お客様のためにおすすめして喜んでもらえること。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
・魅力が伝わる「おすすめ」でお客様に召し上がっていただき、リピートの動機付けとする。
冒頭にお伝えしたこの目指すべきゴールに到達するために、「ファーストオーダー」の場面で求められる対応方法や
マインドについて取り上げてきました。
長くなりましたが、私は9ステップの中でこの3番目の「ファーストオーダー」の対応は最も重要であると考えています。
まとめとして振り返りましょう。
- 最初の注文時にお店の看板メニューをしっかりとお客様に伝えることが重要
- なぜならばお客様が再来店しない大きな理由の一つが「もう一度行く理由がない」
- お客様にお店の魅力を印象づけて再来店していただくために、看板メニューを確立する。
- 再来店か?リピーターか?おすすめはお客様に合わせて工夫すべき。
- おすすめが苦手なスタッフは最初にメンタルブロックが効果的。
このファーストオーダーの対応には、お客様が再来店されるかどうかの判断材料となる要素が多いです。
繁盛店はこの場面で、お客様にお店のウリを伝えることがスタッフ間で徹底されています。
あなたのお店もファーストオーダーでお客様の心を掴み、他店舗と明確に差別化できるよう、
本記事を参考にぜひ取り組んでみて下さいね(^^)
ここまで9ステップは
「お出迎え」「ご案内」「ファーストオーダー」
序盤の3つのステップを解説してきました。
ご来店からおよそ5分前後の短いやりとりですが、どれも非常に重要です。
次回の記事からは9ステップの中盤に入っていきます。
4つ目となる「商品提供」で役立つワンランク上の接客対応を紹介します。
一緒に学んでいきましょう!
そして新型コロナウイルスに負けずにお店を盛り上げていきましょう!
最後までお読みいただきありがとうございます!