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ご案内

【飲食店接客マニュアルの9ステップ】2「ご案内」お客様を安心させる対応とは

こんにちは、齊藤です。

前回の記事より接客の9ステップの中身に入っていきました。

※前回の記事
【飲食店接客マニュアルの9ステップ】1「お出迎え」でお客様の不安を取り除く

※9ステップとは?
【飲食店の接客マニュアル】接客教育に効果的な「9ステップ」とは?

本日は9ステップの第2回目となる「ご案内」に焦点をあてていきます。

レストランの接客教育

ステップ2「ご案内」

お客様を出迎えた後、お席までご案内する場面ですね。

ただお席に通せば良いというわけではなく、
ここでもスタッフの心配りや機転を利かせた対応ができるかで印象は大きく変わります。

・どのような席にご案内しても、お客様に「納得」してもらえる対応ができる。
・お席に着いた時点で不安や不満がなく、お店への期待感が高まっている状態。

お席への場面で、お店側が目指すべき理想の状態はこの2つです。

この2つをクリアするためには、ポイントとなるキーワードがいくつかあります。

それらを順に見ていきましょう!

席ごとの強みや特徴を把握する

飲食店には様々なタイプのお席が存在します。

  • カウンター席
  • カップルシート
  • 完全個室
  • 半個室
  • 掘りごたつの座敷

などですね。

それに対して、ご来店されるお客様も様々な客層が存在します。

  • カップル
  • 友人・同僚
  • 会社宴会
  • お子様連れ
  • 女子会
  • ママ会

などですね。

この「お席のタイプ」×「お客様の客層」の組み合わせで、
お客様の満足度は大きく左右されることをまず認識しましょう。

お客様の満足度を高めるご案内、席決めとは、あなたがそのお客様の立場になって
自分であればどの席に座りたいか」を考えることです。

カップルであればカップルシートや個室、お客様によっては並んで座れるため
カウンターを希望する方もいます。

女性のお客様は靴を脱ぎたくない方も多いので、掘りごたつや小上がりではなく
テーブル席の方が喜ばれるケースもあります。

お子様連れの場合は、たばこの煙が気にならない禁煙席や個室、半個室席にご案内すれば
親御さんに喜んでいただけるでしょう。

会社宴会の中でも、明確な「主賓」が存在する歓迎会や送別会であれば、
プライベート空間でじっくり語り合える完全個室の需要が根強いです。

他には、席同士に挟まれていない壁側や端のお席を望まれる方も多いですよね。

飲食店の店内の状況は、入店や退店で状況が目まぐるしく変化しますので、
お客様をご案内するその時点で、空席の中から最も良いと思う席にご案内することが基本です。

ご案内する前のお声かけ

忙しい週末の繁忙日や19時前後のピークタイムはどのお店も基本的に混んでいます。

有名店であれば、予約で人気のお席から埋まっていくことも珍しくありません。

ご要望に応えられない場合

  • テーブル席希望のお客様にカウンター席しか提案できない。
  • 個室希望のお客様にオープン席しか提案できない。
  • 夜景が見える席を希望のお客様に、窓から離れた席しか提案できない。

忙しい時こそ、こうした状況は常に起こります。

すべてのお客様に対して、100%満足できるお席にご案内するのは残念ながら不可能です。

しかし、ご要望にお応えできないことを淡々と伝えてお断りするのではなく、
スタッフがお客様の気持ちを汲んで、心からの言葉をかけて、できる限りの対応を提案しましょう。

「個室は埋まっておりましてご用意できません」
こうした否定表現でお断りするよりも

個室は20時からでしたらご用意できます。
それまで別のお席をご用意できますがいかがでしょうか?

このようにお客様に少しでも喜んでいただける提案を、
肯定表現で伝えてみましょう。

あなたの提案をお客様が納得されて受け入れれば一番良いですし、
仮にそれが通らなかったとしても、あなたがお客様のことを考えて、
提案したことへの姿勢や気持ちはきっとお客様に伝わります。

お客様のご要望をただお断りしてしまっては、それで終わってしまいます。

あなたの心とアイデアを駆使し、考えられる対応の中で最もベストな提案をしましょう。

ご案内の前にお声かけが必要なケース

前項ではお客様のご要望に対しての提案に関して述べました。

それではご要望がない場合はどうでしょうか?
特に何もお声かけや説明は必要ないでしょうか?

答えは「お席の状況によってはご案内前にお声かけや説明が必要なケースがある」です。

お客様をお席にご案内してから

「ほかの席ありませんか?」
「あっちの席にしてもらえませんか?」

こういう要望を受けてしまうことは、ご案内の担当者としては避けねばなりません。

これはお客様がご案内された席に納得していないから発生します。

ご案内されたお席に納得されない具体的な事例としては

  • 人数に対して席が狭い。ゆとりがない。
  • 周囲が騒がしく落ち着かない。
  • 他のお席に挟まれている。
  • 席に仕切りがない。
  • タバコの煙が気になる。
  • 客席がトイレに近い。

こうしたケースが挙げられます。

お客様の立場になって考えた時に、ご案内前にあらかじめ説明した方が望ましいケースは、
最初にきちんと説明したうえでお席へご案内した方が良いです。

「最初にネガティブな情報をお客様に与えて、お客様が帰ったらどうするの?」

こうした意見があるとは思いますが、私はそれでもお客様に事前にお伝えすべきだと考えています。

説明なしにそうした席に案内された場合、喜ぶお客様はほぼいないはずです。

「ほかの席ありませんか?」と聞いて下さるお客様ばかりでなく、
何も言わずに「潜在的クレーム」を抱えたまま我慢して食事し、
もう二度とご来店されないお客様が気づかないところで生まれてしまいます。

私たち飲食業はこの声なき潜在的クレームに敏感になる必要があります。

ご案内したお席や提供した料理のお味、対応したスタッフのサービスなど、
クレームや指摘点をお客様から頂けることは中々ありませんよね。
(日常的にクレームが発生しているならば、飲食店として根本的に何かが間違っています)

「クレームも指摘もないから、ウチの店は安泰だなぁ」

こうして楽観的でいると、気づいたら客足が減っているということは往々にして起こります。

ご案内の状況でも、お客様の表情や声なきリアクションに敏感になり、
潜在的なクレームを減らしていく対応を日頃から行う必要があります。

繰り返しになりますが
すべてのお客様に対して、100%満足できるお席にご案内するのは残念ながら不可能です。

だからこそ、事前にお客様に説明したうえで、お客様にある程度納得していただいてから
お席にご案内した方が、よりお客様のことを考えた良い対応であると私は考えていますし、
実際にそう対応しています。

きちんと説明してくれたあなたの対応の中に、お客様の気持ちを想う姿勢があることは伝わります。

貪欲に売り上げを上げるために、どんどんご案内して席を埋めたい気持ちも理解できます。
特に予算達成がかかった月末などは、1名でも多くの来客数を獲得するのに必死ですよね。
今日の数千円、数万円が切実に必要な状況です。

そんな時でも、私はやはりお客様の満足度を優先した対応が望ましいと考えています。

飲食ビジネス成功の原則

私がご案内対応を非常に重要視している理由をもう少し説明します。

1、まず来ていただく。
2、また来ていただく。
3、どんどん来ていただく。
この「まず」「また」「どんどん」のステップを順に踏んでいく必要があり、
それぞれのステップ毎にお客様に求められる、または期待される内容は異なります。
(詳細はまた別記事で詳しく解説します)
つまり、お客様は1回ご来店さえしてもらえればクリア!という訳ではありません。
1度ご来店していただいた瞬間から、次またご来店いただくための対応が求められます。
その考え方に基づけば、どのような時もお客様を最優先し、お客様に求められる対応をし続けることが、
次のご来店に繋がる可能性が高いです。
今回のテーマは「ご案内」ですが、このご案内は一見シンプルに見えて、
お店側の対応力やサービス力が如実に現れる場面です。ご案内の対応で最初からお客様の不満を高めてしまうと、その後の様々なシチュエーションに対して、
悲観的ネガティブに捉えられてしまう可能性が高まります。
お店側のミスや不手際に対して、お客様が攻撃的になったりすることさえあります。
逆に最初のお出迎え〜ご案内までのステップで、お店側からの親身な対応や心遣いが感じられているお客様は、
少々何かあっても肯定的寛容になってくださる可能性が高まります。
まさに「掴みはOK!」の状態と言えます。
最初にこうした心理状態になっていただいたお客様は、次回来店の可能性が当然高くなります。
「また来ていただく」
「どんどん来ていただく」
そのためにご案内対応でお客様との最初の信頼関係を構築しましょう。

一歩踏み込んだご案内対応

ここまではお客様の不満や不安を取り除き、安心してお席に着いていただく対応です。

ここからはご案内という一見シンプルな対応でも、他店舗と差別化する少し踏み込んだ対応方法を提案します。

初来店か?再来店か?

ご案内しながらのやり取りの中で

「友達がここのお店が美味しいと教えてくれたので初めて来ました」
「ここのもつ鍋が絶品で、また食べたくなって来ました」

こうした来店履歴が分かるやりとりがあったりしますね。

これは次回の記事のステップ3「ファーストオーダー対応」で重要になってくる情報です。

理由は初来店リピーターかで最初のおすすめ対応を変えるべきだと考えるからです。

詳細は次回記事で取り上げますが、お客様がどちらなのかを判別することは重要ですので、
ご案内時に確認できればそれは望ましいことです。

お客様の方から教えてくださっている訳ですからね。

期待感を高めるお声掛け

よくあるケースとしては、ご案内中に

「お手洗いは通路の突き当たり右側にございます」
「お足元の段差にお気をつけください」

こうしたアナウンスが挙げられると思います。

それらに加えて、これからご案内するお席が人気で一押しのお席であれば、
ご案内しながらさりげなく

「本日は当店で一番人気のお席にご案内します」
「ちょうどタイミングよく良い席がご用意できたので、今日はそちらにご案内します」
「もう少し陽が落ちてくると綺麗な夜景が楽しめるお席にご案内します」

このようにご案内するあいだの数秒間という時間だけでも、
お客様にこうしたアクションをすることができます。

ただご案内するのではなく、お客様に少しでも喜んでいただける対応をします。
この場面では少しでも喜んでいただける「お声かけ」が大切です。

あなたのお店に来て良かったと、お客様の印象により深く刻まれるはずです。

親しみを感じてもらえるお声掛け

お客様にとって印象に残るご案内にするためのヒントは「お客様自身」に隠されている場合もあります。

  • 大きなキャリーバックを持ってご来店
  • 応援する野球のユニフォームを着てご来店
  • レジャースポットの買い物袋をたくさん持ってご来店
  • 小さなお子様が大好きなキャラクターのおもちゃを持ってご来店

お客様を観察すれば、こうしたいろいろなものに気づくことができます。

こうした情報はあなたとお客様がコミュニケーションを取るための「フック」になり得ます。

「お仕事ですか?どちらからお越しですか?」
「今日デーゲームでしたね?勝ちましたか?」
「◯◯に行ってきたんですね!天気も良いですし混んでなかったですか?」

こんな感じで気さくにフレンドリーに声かけすることを心がけています。
お客様との距離感を少し縮めることで、親しみを感じていただけるように意識しています。

事務的になりがちなご案内対応で、少しだけ勇気を出してお客様と仲良くなってみましょう!

まとめ

本記事の冒頭でお伝えしたゴールを改めて確認しましょう。

・どのような席にご案内しても、お客様に「納得」してもらえる対応ができる。
・お席に着いた時点で不安や不満がなく、お店への期待感が高まっている状態。

前半ではお客様の不満や不安を取り除く対応を。
後半では一歩踏み込んだ親しみのあるコミュニケーションを交えた対応を提案しました。

ここまで述べてきたご案内対応を取り入れることで、お客様の不安を取り除き、
その後の商品やサービスに期待感が高まっている状態に近づけることができます。

次回は9ステップの3番目となる「ファーストオーダー」対応です。

「お出迎え」〜「ご案内」の対応で良い流れを作れたら、いよいよあなたのお店の魅力的なメニューが登場します。

あなたのお店の魅力をしっかりとお客様にお伝えするための様々な提案をさせていただきます。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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