日々の営業お疲れ様です。
本日は私が2015年から毎年欠かさず購入している、おすすめの書籍をご紹介します。
- 「飲食業界で働く人が読むべき本ってどれだろう?」
- 「店舗運営や商品開発に活かせる実践的な本はどれだろう?」
もしも皆さんが情報収集や自己投資のためにこうした本をお探しであれば、私は迷うことなくおすすめできる本があります。
ぜひご検討ください。

柴田書店「居酒屋」シリーズ
書名 | 「居酒屋◯◯◯◯」(その年の西暦が入る) |
発行所 | (株)柴田書店 |
発行ペース | 年1回 |
発行時期 | 不定期(毎年春〜夏の時期) |
定価 | 1,900円(税別) |
ページ数 | およそ200ページ |
この記事を書いている2020年5月中旬の時点で、本年度版の「居酒屋2020」はまだ発売されていません。今後発売されたらレビューします。
飲食業態のトレンドを学べる
様々なメディアでは毎年、首都圏を中心にヒットの兆しを見せ始めている、新しい業種・業態が取り上げられています。
過去の一例を挙げると、ここ最近は仙台でも増え始めてきた「大衆酒場」「そば居酒屋」「天ぷら酒場」「餃子酒場」といったキーワードの業態です。
この居酒屋シリーズの大きな特色としてまず挙げられるのが、実数値で多角的に分析する業態トレンド研究が挙げられます。
毎年、この特集にかなり力を入れていますので、この部分だけでも十分に読む価値のある情報量です。
事項で具体的な内容を見ていきましょう。
繁盛店の収益構造が学べる
様々なトレンド業態を網羅的に取り上げているのですが、情報の抽出の仕方が大変勉強になるのです。具体的には以下の通りです。
- 各業態においてヒットの仕掛け役・発信元になっている繁盛店の紹介
- 坪数、席数、客単価、月商といった経営実数値の目安を公開
- カテゴリーごとのアイテム数や価格帯のメニュー構成を記載
- 人気メニューの原価・売価といった収益構造を算出
- フード・ドリンクそれぞれの売上比率を算出
- 実際のメニューレイアウト、デザインを公開
ざっと挙げただけでも、これだけの切り口でデータが記載されています。
繁盛店のこうしたデータは、店長や料理長といった役職以上の人で、日々数値に触れている人が見ると、驚くような成果を上げているお店が多いです。
ヒットしているお店には、必ずお客様目線で支持され、心を掴む仕掛けがあります。
それは商品の美味しさはもちろん、飽きさせないメニュー構成だったり、それ目当てでお客様が来店するような圧倒的なコスパの看板メニューだったり、人に教えたくなるような提供方法や演出だったりします。
プロの飲食人の感性や発想力を刺激する、様々なヒントが掲載されています。
リピート率を高める料理開発のヒントが学べる
この時代のメニュー開発に必要不可欠な要素の一つに、「思わず人に伝えたくなる魅力がある」ことだと私は考えています。
具体的なアクションとしてはお馴染みの「SNSでシェアする」ことが挙げられます。
美味しい料理とは、五感の中でも特に「味覚」で味わうものですが、人に伝えたくなる料理は、人間の五感すべてに訴えかける魅力があるということです。
具体的に見ていきましょう。
- 味覚・・・美味しい味付け、驚くような柔らかさ、プリプリの食感など
- 嗅覚・・・食欲をかき立てる匂い、ソースの香ばしさなど
- 視覚・・・食べるのを躊躇するほど美しく鮮やかな盛り付けや器など
- 聴覚・・・目の前で肉が香ばしく焼き上がるジューッとした音など
- 触覚・・・箸やナイフで驚くほど柔らかく切れた感触など
繁盛店のメニューは、お客様目線でこうした部分でインパクトのある仕掛けが施されています。
本来はどんなお店も必ず美味しい料理は存在するはずです。
お客様に人気があるか否かは、お客様目線で商品を魅力的に伝える工夫があるかないかの、僅かな差なのかもしれません。
この居酒屋シリーズでは、各店舗の人気メニューの中でも特に集客面、収益面で存在感を発揮しているメニューが画像はもちろん、原価や売価といったデータまで公開されている場合が多いので、自店のメニュー開発に大いに参考になります。
皆さんのお店と同じ業態のお店で取り上げられている人気メニューを、期間限定のおすすめメニューでトライアル販売してみるのも良いと思います。

他店と差別化できるドリンク販売のコツが学べる
ドリンクメニュー開発にも同様に役立たせることができます。
ここ数年、居酒屋業界や酒造メーカーを大きく巻き込んでのレモンサワーブームが続いています。
こうしたブームの前にいち早くトレンドを予測し、競合店に先駆けてニーズのある商品提案のヒントを与えてくれる。
こうした部分も居酒屋シリーズの強みです。
特に「居酒屋2018」ではドリンクに焦点を当てて、ビールやサワー、日本酒といったアルコールのカテゴリー別で強みや独自性を打ち出し、繁盛店となっている店舗の特集記事が組まれています。
ドリンクメニューの視点から商売繁盛のヒントを探している方は、ぜひ2018年版もご覧ください。
店舗経営に役立つ様々なテーマの記事で知識を深められる
これまで述べてきた「業態研究」「収益構造分析」「商品開発」といったメインテーマ以外にも、後半パートでは毎年様々な特集記事が組まれています。
具体的なテーマとしては
- メニュー作成の知識
- ホームページ集客
- 覆面調査の活用方法
- 求人と人材教育のノウハウ
- 資金繰り・キャッシュフロー知識
こうしたテーマが取り上げられています。
一例として、組織規模の大きい外食チェーン企業で勤務している場合、商品開発やメニューデザインの作成、オウンドメディアの運用管理、ましては資金繰りといった分野は社内のスペシャリストが担当している場合が大半で、店舗社員はノータッチというケースが珍しくありません。
しかし将来的に独立起業を目指している人にとっては、日常業務で担当している分野以外の領域にも、若いうちから目を向けるべきです。
自己投資の方法の一つとして、「繁盛している飲食店」から学ぶべきことは大いにあり、そうしたテーマで体系的、網羅的に情報がまとめられているこうした書籍は大いに活用すべきです。
私も2015年から毎年購入し熟読しています。
料理長や一般社員にも推薦している一冊です。
まとめ
私がこの「居酒屋」シリーズをおすすめする理由をもう一度お伝えします。
- 飲食業態の流行トレンドを毎年確認することができる。
- 繁盛している飲食店の収益構造を実数値で把握できる。
- 集客力、収益力があるメニュー開発のヒントが学べる。
- 独立起業を成功させるために必要な業界知識を吸収できる。
要約するとこの4つです。
おすすめの読み方としては、毎年1冊ずつ読み続けることで、これまで述べてきた幅広い知識が積み重なって身につきます。
読み続けることで、飲食業界のトレンドの変遷を理解することができます。
どんなヒット商品や業態も、何年も同じような集客性や話題性をキープすることは難しいですが、その中で自分なりにヒットのサイクルや法則性といったものを見つけることができるかもしれません。
話題のキーワードの「○○」と「△△」を掛け合わせて、従来の常識を覆す新しい業態開発のヒントになる可能性さえあります。
(例:従来の高級ジャンルをファーストフードやデリバリースタイルで気軽に楽しめる業態)
ここまで述べてきましたが、この本の情報には、日々の店舗運営においての悩みや課題を解決するヒントが必ずあります。
飲食業界での活躍を志す皆さんに、ぜひおすすめしたい一冊です。