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レストランの接客教育

【飲食店の接客マニュアル】接客教育に効果的な「9ステップ」とは?

皆さんこんにちは、齊藤です。

自分のお店のスタッフの接客力、サービス力を高めたい

飲食店の人材育成のノウハウを学びたい

このように考えている飲食店のオーナーさん、店長さんは非常に多いと思います。

最初に少しだけ私の考えを述べさせていただきますと、
業種業界問わず、経営者やリーダーは常に次の3つの悩み・課題と戦っているといえます。

  1. 良い人材が採用できない
  2. 社員・スタッフが育たない
  3. 売上や利益が上がらない

この中のいずれか、または2つ、もしかしたら3つ全てかもしれません。
程度の差はあれど、おそらく大半の方はこうした問題と戦っているはずです。

今回は2の人材育成に関して、飲食店の接客に焦点を当てた記事です。

これまで40店舗以上の飲食店運営に携わってきた私の経験から導き出された、
未経験のスタッフを育てることを前提としたノウハウです。

私はこれを「接客の9ステップ」と呼んでいます。

笑顔

 

接客の9ステップ

接客の9ステップとは、お客様が飲食店にご来店されてからお帰りになるまでの一連の流れを、
まず大きく分けて「序盤」「中盤」「終盤」の3つに分類します。

その3つをさらに細かく分類し、1つの分類ごとに3つの「場面」が存在するという考え方です。
これで合計9つの場面になります。

お客様がご来店され、お帰りになるまでの一連の流れに応じた各場面は、この「9ステップ」で表せます。

全9回の記事で各ステップごとに、具体的事例を挙げながらポイントを解説していきますが、
今回はこの9ステップの概要をまず皆さんにお伝えし、次回から具体的な内容に入っていきます。

序盤の3ステップ

1、お出迎え
2、ご案内
3、ファーストオーダー

序盤の3ステップは、お客様がご来店される最初の対応です。

数ある飲食店の中から、初めてご来店下さったお客様の心情としては、
期待もありますが多少の不安もあります。

序盤のステップでのポイントは、お客様の不安や不満を取り除き、
「この店にして良かった」と感じていただける対応をすることです。

お客様を感動させたり、サプライズで喜ばせるといったことはまだまだ先の段階です。

時間に換算すると、入店してからわずか5分前後のやり取りがこの最初の3ステップです。

この最初の初期対応で躓いてしまうと、お客様はいきなり不安や不満を抱えてしまい、
その後に起こる様々なことに対して、否定的で悲観的な感情を持ちやすいことを注意してください。

次回からの具体的な記事では、最初にお客様の心をつかむ様々な対応方法を取り上げていきます。

中盤の3ステップ

4、商品提供
5、中間サービス
6、追加オーダー
中盤の3ステップは、お客様がお酒や料理を楽しむ、まさにお食事の真っ最中の場面です。
お客様が快適に楽しくお食事を楽しむための手助け、お手伝いをする心構えが大事です。
基本となる仕事は、ホールをラウンドしながらお客様の表情、卓上をよく観察し、
状況に応じて的確な行動を、お客様から言われる前にこちらからしてさしあげることです。
グラスが空になる前に追加のお飲み物を伺ったり、取り皿や灰皿をこまめにチェックして交換したり、
テーブルの上をクリアにして綺麗にすることなど、サービススタッフのレベルに応じて大きく差が出る場面です。
最初のステップでお客様の不安を取り除いたら、商品のクオリティやあなたの接客対応で、
お客様の満足を高めていく段階といえます。
同時に、飲食店で最も身近なクレーム・不満足の原因である「提供の遅延」や
「オーダーミス」を発生させない対応も重要です。
そしてもう一つ。
この中盤の場面は、お客様と積極的にコミュニケーションを図れる場面でもあります。
あなたの接客でお客様の安心と満足を勝ち取ることで、お客様との信頼関係が生まれます。
名前を覚えてもらったり、お店の常連になったり、お褒めの言葉を頂戴したり、
飲食業の様様なやりがいや、醍醐味を味わえるチャンスがあります。
シンプルに言い換えれば「お客様と仲良くなることが仕事」とも言えるでしょう。
  • 「このお店のスタッフは教育がちゃんとされている」
  • 「接客対応が良い」
こうしたお声をいただけるように、中盤の局面で役立つ様々な接客対応の事例を取り上げていきます。

終盤の3ステップ

7、アフターサービス
8、お会計
9、お見送り
終盤の3ステップは、お食事を一通り終えて、お腹も心も満たされた状態のお客様に対して、
さらにもう一歩踏み込んで、お店とあなたをより強く印象付ける最後の段階です。
デザートをおすすめしたり、温かいお茶やおしぼりを交換したりといった対応だけではなく、
お料理のお味を伺ったり、次回来店を促すようなイベントの告知やクーポンなどを伝えたりもできます。
そういったコミュニケーションができている状態は理想的です。
なぜならば、クレームや不満足な対応があったお客様とは
そもそもそうしたコミュニケーションが取れる雰囲気にはならないからです。
お料理のお味やサービスの印象を伺うことだって、
信頼関係が築けているお客様の方が伺いやすいはずです。
お会計前のゆっくりされている時間帯に何らかのポジティブなコミュニケーションが
できていることが満足度のバロメーターと言えるのです。
この終盤の局面でお客様の満足度を高め、次回来店を促すための様々な接客対応を
具体的な事例と共に紹介していきます。

9ステップで教育するメリット

ここまで述べてきた9ステップのように、実際の接客シーンを細かく分けて教育するメリットは多いです。

具体的に見ていきましょう。

1、飲食店の接客の仕事を抽象的ではなく、具体的に提示することができる。
2、9つの場面に細かく分けることで、状況に応じてやるべきことが明確化される。
3、テーマごとのトレーニングやロールプレイングがやりやすく、成長の進捗を確認しやすい。
4、9ステップという型を用いることで、お店全体のサービスレベルが引き上げられやすい。
5、ステップごとの細かい評価ができるので、長所を伸ばし弱点を克服しやすい。
6、ステップごとに細かい評価ができるので、人事評価や昇給査定に結びつけやすい。

主にこうしたことが挙げられます。

毎年春になると、一定の人数が卒業し、また新しく新人スタッフが入店してきます。

甲子園に出場するチームのように、毎年チーム力というのは変化するのが常ですよね。
飲食店も経験の有無や本人の適性など、どうしても個人差はあります。

9ステップという型を用いることで、教える先輩スタッフも、そして新しく入店する新人スタッフも、
双方にとって同じゴールのイメージを共有しながら研修を進めることができるのです。

9ステップというマニュアル(型)を使うことに対して、否定的な意見もあるかと思います。
あくまでスタッフ個人の自主性や個性を尊重し、マニュアルが一切存在しないお店もありますね。

それ自体も一つの方法ですし、否定はしません。
教育の考え方の違いなのだと思います。

あなたにとって「教育」とは何でしょうか?

私にとっての飲食店における教育の基本スタンスは

「誰がやっても同じことができる」

「皆が同じことを理解している」

この考えを大事にしています。

接客はまさに十人十色で、一つの対応を取り上げてみても、お客様の反応は異なったりします。
その全てをマニュアルに落とし込んでいたら大変なことになります(笑)

全ての事例を網羅することができませんが、

  • 「こういう対応をしたらきっとお客様は安心するよね」
  • 「この場面ではこういう対応をお客様が求めているはず」

こうした基本の型を身につけさせた上で、一人ひとりの個性を尊重するスタンスを取っています。

この型というのが接客の9ステップにあたるということです。

まとめ

いかがでしょうか?

本記事では接客の9ステップの概要と、そのメリットを中心にお伝えしました。

次回の記事からは具体的な9ステップを「1記事=1ステップ」の全9回にわたって進めていきます。

1つの記事にまとめてしまうと文字数が多くなりすぎるので、1ステップごとに焦点をあてていきます。

皆さんのお店の人材育成、サービスレベルアップのお役に立てれば、とても嬉しいです。

新型コロナウイルスの影響で苦しい飲食業界ではありますが、
目の前のお客様、目の前の仲間に全力で向き合うことを諦めず、共に頑張りましょう!

お客様が少ない時期ですが、今しかできないこともあると前向きに考えております。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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